ASIAGAP の実践

事例紹介

次にASIAGAP実践による認証取得農場の、農場改善効果です。
農林水産省「未来につながる持続可能な農業推進コンクール(GAP部門)」受賞者GAP取組み事例から抜粋しています。

(有)穂海農耕
~創業時からGAPで農場管理、経営拡大~

基本情報

所在地:新潟県上越市
設立:平成17年12月
資本金:3,599万円
構成員:役員2名、社員19名

経営概要

経営面積:170ha(約1,040筆)
主要作物:水稲(10品種)等
販売先:自社販売会社、JAえちご上越
総売上額:約1億6千万円(R1実績)
認証品目:米(籾・玄米)

経営改善

GAPで求められる栽培計画策定、作業記録、実績評価をIT利用により効率的に行うこと等で、以下の効果を実現

  1. 業務用米を中心とした作期分散により機械を効率利用
    (田植機で3.7倍、コンバインで2.5倍の稼働) ※1
  2. 農薬の大口取引や必要量の発注により農薬費を削減(26→28年度:40%減) ※2
  3. 栽培計画に基づく効率的な田植え作業による予備苗(種籾量)の削減により種苗費を削減(26→28年度:14%減) ※2
  4. 綿密な栽培計画に基づく作業の効率化等により人件費を削減(26→28年度:35%減) ※2
  5. 従業員起点の作業改善が行われ、従業員の自主性が向上
    これらの経営改善の結果、米の生産コストは、28年度は108千円/10a(26年度比5.4%減)。なお、認証コストは136円/10a程度。

※1 新潟県特定高性能農業機械導入計画の年間作業負担面積に対する割合
※2 10a当たり経費で比較
※H29年取材時実績

穂海農耕の代表(右)と農場長(GAP担当)

(有)まるせい果樹園
~GAP認証の取得を社員教育に活用!震災から復興した果樹園経営~

基本情報

所在地:福島県福島市
設立:平成13年
構成員:役員3名、社員4名
パート:11名

経営概要

経営面積:約8ha
主要作物:さくらんぼ、もも、りんご、かき、ぶどう、西洋なし、日本なし
販売先:観光農園(直売所・カフェ)小売(イオンリテール他)
総売上額:約9千万円(H28年)
取得認証:ASIAGAP Ver.2(青果物)、GLOBALG.A.P.(青果物)
※認証品目は主要作物に同じ(うちGLOBALG.A.P.は太字のもの)

(有)斎藤農場
~GAPに取組み、安定的な周年栽培!!~

基本情報

所在地:千葉県富里市
代表:斉藤知秀
構成員:従業員10名

経営概要

経営面積:4.4ha(うち、GAP認証取得2.2ha)
主要作物:こまつな、はくさい
販売先:イトーヨーカドー、味の民芸等
総売上額:約6,500万円
認証品目:こまつな

経営改善

GAPで求められる栽培計画策定、作業記録を行い、作業の効率化を行うこと等で、以下の効果を実現

  1. 計画的な栽培計画の策定及び作業の効率化や予冷庫の導入により、経営規模の拡大、収穫量の増加
    (経営面積:160a → 440a、収穫量:100kg/日→ 1t/日)
  2. 外国人技能実習生を受入に際し、母国語表記の指示書の作成、毎朝のミーティング等を行い、労働環境の改善や未然の事故を防止
  3. 土壌診断結果を活用し、肥料費を25%低減
    農薬散布回数の低減等により、農薬費を60%低減
    包装資材等の見直し等により、資材費を30%低減
    (H25→H29)
  4. 斉藤農場の統一規格での取引を行うとともに、予冷庫導入により効率的かつ安定的な収穫・出荷体制を確立
  5. 研修や視察の受入は、数十回にのぼる、また、ASIAGAP認証機関の模擬審査会場にも指定されている
斉藤農場代表 斉藤知秀

有限会社 グリーンハウス
~GAPを活かして農業界のトップランナーへ!~

基本情報

所在地:山口県山陽小野田市
代表:松村正勝
構成員:従業員44名 特定技能(タイ人)1名 外国人実習生(タイ人)3名
URL:https://zan-mai.jp/

経営概要

経営面積:施設4.9ha、露地5.1ha
主要作物:ねぎ、ちんげんさい
ほうれんそう、ミニトマト等
取引先:県内市場
認証品目:ねぎ、ちんげんさい、ほうれんそう、ミニトマト

経営改善

GAP導入による、作業の効率及びマニュアル化により、生産性の向上や若い社員の意識の向上。

  1. 生産資材の在庫管理、作業工程の見直しの徹底により、ねぎの回転数の増加(3→4)及び他品目の導入が可能になり、経営の安定化に貢献。
  2. 作業の細分化及びマニュアル化により、作業が効率化され、完全週休二日制の導入等により、新入社員の離職率が低減。
  3. GAP導入により、
    ・生産量に対する生産経費が37%削減(H26→H30)
    ・生産量については、44%増加(H26→H30)
  4. 週一の見回り会、月例会及び年数回の研修会を開催し、社員全員で経営改善に向け、取組む意識を形成。
  5. GAPによるリスク評価を取り入れた包装センターを新設(H30)。
有限会社グリーンハウス