【事例紹介】― 徳島県畜産GAP推進協議会が描く、認証から販路拡大までの取り組み ―

徳島県畜産GAP推進協議会

JGAPは、食の安全や環境保全、労働安全等に取り組む農場に与えられる認証制度として、全国に広がりつつあります。一方で、「認証取得後、その価値をどのように伝え、実際の取引や消費者の選択につなげていくのか」が、依然として課題となっています。

徳島県では、この課題に対し、生産者と行政が一体となり、実需者や流通関係者を巻き込みながら、JGAP認証畜産物が「使われ、消費者に届く」までを見据えた取り組みを進めています。その中心となっているのが、「徳島県畜産GAP推進協議会(以下「協議会」)」です。

本記事では、協議会の取り組みの第一弾として、協議会発足からシェフによる農場視察、展示会出展までの様子を紹介します。

認証取得の先を見据えて ―生産者と行政が連携して立ち上げた協議会―

徳島県畜産GAP推進協議会は、JGAP畜産に取り組む生産者が、認証取得をゴールとするのではなく、その先の認知度向上や販路拡大へとつなげていくことを目的に、2025年9月に設立されました。
協議会は、JGAP畜産に取り組む生産者(養豚、肉用鶏、採卵鶏)と行政(徳島県)を中心に、流通に関わる関係者で構成されています。生産者の主体性を軸としつつ、行政が伴走する形で、JGAP認証を活かした実践的な取り組みを行っています。

実需者とつながる第一歩 ―シェフに“生産の現場”を見てもらう―

協議会の取り組みの一環として実施されたのが、トップシェフによるJGAP認証農場の視察です。

参加したのは、クラブ・デュ・タスキドール会長の上柿元勝シェフ、株式会社ときわ名誉総料理長の池内渉シェフ、リーガロイヤルホテルズ総括総料理長の太田昌利シェフ、リーガロイヤルホテル大阪 レストラン シャンボールの田中貴典シェフ。

視察では、協議会の構成メンバーでもある県内のJGAP認証農場を訪問し、畜産物がどのような環境・管理のもとで生産されているのかを、実際に見て、聞いて、確かめていただきました。

【今回視察を行ったJGAP認証農場】
・有限会社石井養豚センター 石井農場(養豚)
・株式会社イシイフーズ 川村農場(肉用鶏)
・タムラポートリー有限会社(採卵鶏)

試食で感じた品質と、生産背景への関心

まず、JGAP認証の豚肉、鶏肉、卵およびその加工品について試食が行われました。

シェフからは、「臭みがなく、素材の輪郭がはっきりしている」「余計な香りがなく、調理のイメージが広がる」など、料理人ならではの視点による感想が聞かれました。

さらに、生産者から飼料設計や飼育方針等の説明を受ける中で、「管理の積み重ねが味に表れている」「管理が行き届いているからこその品質」といった、生産背景と味わいを結び付けた評価につながっていた点が印象的でした。

農場視察を通じて確かめられた「美味しさの理由」

続いて、養豚、肉用鶏、採卵鶏の3つのJGAP認証農場の視察が行われました。

養豚の有限会社石井養豚センター石井農場では、市街地に立地する条件下での空調管理や衛生対策、リキッドフィーディングシステムを活用した循環型農業の仕組みなどが紹介されました。シェフからは、飼料設計や給餌方法、排せつ物の管理、疾病対策といった農場管理の考え方に踏み込んだ質問が寄せられました。

肉用鶏の株式会社イシイフーズ川村農場では、無投薬飼育、遺伝子組換え原料混入防止管理済み飼料や植物性飼料の給与といった神山鶏の飼育条件等について説明が行われ、シェフの関心を集めていました。

採卵鶏のタムラポートリー有限会社では、飼料の工夫、換気や臭気対策、鳥インフルエンザへの備え、インラインによる集卵体制など、採卵鶏特有の管理ポイントが紹介され、日々の管理が品質の安定につながっている点について、現場を見ながら意見交換が行われました。

試食と農場視察を通じ、シェフからは「美味しさの背景に、日々の飼養管理や飼育環境への配慮があることを実感した」という声が寄せられました。試食で感じた味わいが、農場で見た家畜の健康状態や管理方法等と結びつくことで、食材そのものだけでなく、生産の姿勢や考え方まで含めて評価される機会となりました。

実需者の反応が見える ―展示会出展で広がったJGAPの理解―

協議会は、シェフの農場視察に続き、複数の食品展示会にも出展しました。
会場では、試食を通じて畜産物の美味しさを体験していただきながら、JGAPの考え方や生産現場での取り組みを紹介しました。

来場者からは、味や品質への評価に加え、「JGAPとはどのような制度なのか」「なぜこの品質が実現できるのか」といった制度や管理方法への関心の声が寄せられました。また、「どこで購入できるのか」「どのような流通形態なのか」といった具体的な商談につながるやり取りも見られ、実需者・流通関係者との接点づくりという点で手応えを感じられる場となりました。

次のステージへ ―JGAP認証畜産物を消費者に届ける取り組みへ―

2026年3月6日、リーガロイヤルホテル大阪(フランス料理 レストラン シャンボール)において、徳島県の協力のもと特別イベントが開催されます。本イベントでは、協議会メンバーのJGAP認証農場の畜産物をはじめ、徳島県が誇る食材を使ったメニューが提供されます。

当日は、農場を視察したシェフが、これらのJGAP認証畜産物の魅力を料理として表現します。料理として提供されることで、JGAPの価値がより多くの人に伝わることが期待されます。

本イベントの詳細は、以下よりご覧いただけます。
https://www.rihga.co.jp/osaka/restaurant/fair_list/tasukid-or
※協議会の取り組み第2弾として、本イベントの様子について、改めて記事で紹介する予定です。

点ではなく、線でつなぐ ―JGAPを生産から消費まで広げるために―

徳島県畜産GAP推進協議会の取り組みは、生産者と行政が一体となり、シェフやバイヤーといった流通の下流まで働きかけることで、JGAPを生産現場から消費者まで“線”でつないでいく点に特徴があります。

JGAPは、知ってもらう機会さえあれば、多くの人に「良いものだ」と受け止められる制度です。しかし、その機会を生産者だけで生み出すことには限界があります。だからこそ、生産者、実需者、そして消費者を一連の流れとして捉え、関係者が共に動く仕組みづくりが重要になります。

協議会の取り組みは、JGAPの普及や活用を考える上で、地域における具体的な取り組みの在り方を考えるヒントを与えてくれる事例として、今後の展開が注目されます。

徳島県畜産GAP推進協議会のJGAP認証農場一覧

本記事で紹介したJGAP認証農場は以下のとおりです。

(取材年月:2025年11月)

※農林水産省「令和7年度 持続的生産強化対策事業(畜産GAP拡大推進加速化)」より