団体の審査では団体マニュアルだけ持っていればよいのでしょうか。 農場用管理点と適合基準(CPCC)も必要でしょうか?

※過去の技術レターについて対応する管理点をJGAP2022に変更し、内容も修正しました。

管理点と適合基準:JGAP/ASIAGAP団体3章(技術レター2020年1月号)

審査はCPCCに沿って進められるので「CPCC」と「CPCCとマニュアルの関係が分かる資料」を持っていると審査が速やかに進みます。

団体マニュアルの書き方について、特に形式は指定されていません。
マニュアルには、CPCCの項番に沿って作成されている場合もあれば、団体が指導しやすいようにCPCCを分解して組みなおし独自の項番で作成されている場合もあります。
また、それらを組み合わせて、団体事務局に対してはCPCCの項番通りの親文書としてのマニュアルがあり、農場用にはCPCCを分解して農場がすべきことのみを記載した子文書としてのマニュアルを用意している場合もあります。これは団体の規模や高齢者の比率等を勘案して団体が自由に決めればよいことです。

いずれにしても、団体事務局がマニュアルを作成する際に、CPCCを満足するマニュアルを作ることがJGAP2022/ASIAGAP団体事務局用CPCCの管理点3.2に要求されており、管理点3.1で団体事務局と農場の役割分担の文書化が求められていますので、CPCCの項番通りのマニュアルではない場合には、CPCCの管理点に対してマニュアルのどの部分が対応しているのかを対照表などでチェックしながら作成されているはずです。
そして団体による農場への内部監査は、管理点4.4.1の通り、マニュアルに従って各農場が管理されているかを確認していくものであり、CPCCそのものを使って内部監査を行うことは基本的に誤りです。

実際の審査では、まず団体事務局の審査でCPCCを満足するマニュアルであるかどうかを審査します(これを一般的に文書審査と呼びます)。その上で、サンプリングされた農場の審査では、マニュアル通りに管理されているかの確認を通じて、間接的に各農場のCPCCの適合性を判断します(これを一般的に現地審査と呼びます)。
審査員はマニュアルを考慮せずにCPCCで各農場を審査することもありません。
なお、事前にマニュアルを送ってもらって文書審査を実施する場合もあります。団体の規模や複雑さを勘案して、その方が効率的であると認証機関が判断した場合に実施されます。

マニュアルがいかなる形式であれ上述の通り適切である事を確認した上に、サンプリングされた農場の現地審査を通じて、団体事務局の構成農場への指導・統治と、構成農場の適切な管理・運営が同時に認識され、JGAP/ASIAGAPの要求を満たした団体農場運営が出来ている事を確認する事が審査のポイントです。

なお、団体審査における農場審査がサンプリングでよいとする理由は、全農場の内部監査を行うことにより全農場が団体の指導に従っていることが確認済みであることが条件となっています。
団体審査における各農場の審査では、内部監査の精度についても確認されます。団体事務局の審査において内部監査全体の確認が行われますが、農場の審査ではその農場の内部監査が適切であったかどうかを確認されることになりますので、自分の農場の内部監査資料は揃えておいてください。