障害者が作業している農場で、労働者名簿に当該障害者の記載がありません。また、賃金も最低賃金の水準を下回っています。不適合でしょうか。
※過去の技術レターについて対応する管理点をJGAP2022に変更し、内容も修正しました。
管理点と適合基準:JGAP2022 3.2(技術レター2017年6月号)
日本における障害者の働き方(訓練含む)については以下があります。②③④は「障害者総合支援法」によるものです。
①企業就労
一般企業で、雇用契約を結んで働く。
②就労移行支援事業所で訓練を受ける
一般企業への就職を目指した就労訓練の一環として作業や生産活動を行う。(基本的には雇用契約は結ばない。原則2年間の訓練の場。)
③就労継続支援A型事業所で働く
一般企業で働くのは難しいが雇用契約を結んで、最低賃金以上の賃金をもらって働く。
④就労継続支援B型事業所で働く
上記の働き方はできないが、安心できる環境の下で作業や生産活動を行う(雇用契約は結ばない)
従って、「労働基準法」で労働者となり得るのは①と③です。それ以外は労働者とはなりませんので、JGAP2022の3.2~3.7,3.9は該当外となります。①と③であるのに労働者名簿がなければ不適合となります。まず、障害者がどのような働き方(訓練)をしているかを確認することが必要です。
最低賃金については「最低賃金法」に最低賃金の減額の特例許可制度があり、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として、個別に最低賃金を減額する特例が認められています。障害者はこれに該当する場合もありますので、最低賃金を下回っていた場合には、この許可を得ているかどうかを確認して下さい。許可がないのに最低賃金を下回っていたら不適合となります。
なお、障害者が労働者派遣事業主から派遣されて農場で働いている場合があります。その場合、障害者が雇用契約を結ぶのは労働者派遣事業主となります。したがって、農場側における当該障害者の労働者名簿への記載は必要ありません。