宅配便を使って出荷を行っている場合、外部委託の合意書が必要でしょうか。また、外部委託先の点検は宅配業者まで行って監査を実施しなければいけないのでしょうか。
※過去の技術レターについて対応する管理点をJGAP2022に変更し、内容も修正しました。
管理点と適合基準:JGAP2022 5.1,ASIAGAP 7.1.1(技術レター2010年11月号)
宅配便による出荷は、農産物取扱いの輸送工程であり、その輸送工程を宅配業者に外部委託しているということになります。そのため、外部委託先との合意が必要となります。管理点5.1※農場と外部委託先が合意を交わせない場合には、外部委託先が公開・提示している文書(約款等)を農場が確認することで代替することができる。
となっています。
宅配業者(運送会社)は国土交通省から「運送約款」が整備されていることで営業許可を付与されます。従って、この「約款」を農場が確認すれば合意文書の代替となります。
例えば宅配便の約款の中で「引受拒絶」という項目があります。この項目は、危険物、生きた動物、火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの、の輸送の引き受けを拒絶するというものです。この項目から宅配業者が「農産物の安全を確保する対策を立てている」と解釈できます。
また、監査に出向かなくても、農場に荷物を取りにきた際に、ドライバーの作業ぶりやトラックの荷室の状況(例えば、食品安全上有害なものとの混載をしていないか? 庫内の衛生状態はどうか? 荷物を丁寧に扱っているか? 等)について確認できればそれでかまいません。出荷する農産物の包装をしっかり行い、外部からの混入を防ぐ努力も必要です。
安全性の検討の結果、一般的な「約款」だけではなく、例えば、積み方を指定する、庫内温度を指定する等、特別な管理を要求する場合には別に合意書が必要な場合もあります。
今まで述べたことは、宅配便に限らず、一般的な運送会社の場合でも該当します。