従業員には「労働条件通知書」のみ提示すればよいのでしょうか?また、「労働条件通知書」は内容に変更が生じた場合(例えば賃金の引き上げ、業務内容の変更等)があった場合にはその都度発行しなければいけないのでしょうか?

※過去の技術レターについて対応する管理点をJGAP2022に変更し、内容も修正しました。

管理点と適合基準:JGAP2022 3.3,ASIAGAP 12.5(技術レター2017年6月号)

「労働基準法」の第15条に労働条件の明示義務があり、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を書面で明示することを要求しています。
この書面が「労働条件通知書」となります。「労働条件通知書」は名称の通り使用者側からの一方的な通知であっても構いませんが、労働者に事前に通知されていなければ法令違反となり罰則が適用されます。

一方、「雇用契約書」は民法第623条及び労働契約法が根拠法となりますが、必ず書面を求めているわけではなく、「雇用契約書」を取り交わさなくても罰則はありません。
取組例・備考に「労働条件通知書」と「雇用契約書」の併用を紹介したのは、通知内容を労使双方での契約という形でより確かなものにする方が望ましいと思われるからです。「労働条件通知書 兼 雇用契約書」として整備している事業者も多くあります。

なお、常時雇用の労働者が10名以上いる場合には、「労働基準法」第89条の規定により、「就業規則」を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。

「労働条件通知書」、「雇用契約書」、「労働契約書」、「就業規則」のいずれを用いる場合であっても、労働条件に変更が生じた場合には、例えば「辞令」とか「通知書」の発行が望ましいと言えます。もちろん新しい「労働条件通知書」の発行や、「雇用契約書」による再契約であれば万全です。なお、これらの労働契約に関しては専門性が高い書類になりますので、社会保険労務士や労働基準監督署に相談されることをお勧めします。